「ブラック・ラグーン(1〜5)」の感想
今回は遊戯王ネタが無いので漫画の感想ばかりです。
- 作者: 広江礼威
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2002/12/12
- メディア: コミック
- 購入: 9人 クリック: 169回
- この商品を含むブログ (306件) を見る
- 作者: 広江礼威
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/03/17
- メディア: コミック
- 購入: 5人 クリック: 58回
- この商品を含むブログ (292件) を見る
現在アニメが放映中(私のところでは見れませんけどね!)の漫画「ブラック・ラグーン」の感想です。 ネタばれを含みますので“続きを読む”をクリックしてください。
私は特にミリオタというわけではないのに何故かガンアクション漫画が好きです。それはどーでもいいと して、今脂がのっているガンアクション漫画といえば「ブラック・ラグーン」です。
しかし、ガンアクションとして面白いかと聞かれれば、面白いとは答えますが、しかし例えば同じ雑誌に 連載されている「ワイルダネス」(伊藤明弘)などの方がより面白いと答えます。アクションシーンの躍動 感や迫力には大きな差があります。
だからといって他のガンアクション漫画と比べて作品の質が落ちるわけではありません。この作品の本当 の面白さはアクションシーン意外にこそあります。
1巻こそいかにも第1話らしい各キャラクターの顔見せ的な話やテロメイドとの戦いなんて馬鹿だけど気 持ちの良いエピソードで占められていますが、2巻からは一転して独特の深い世界をさらけ出してきます。
特に2巻から3巻に渡る双子殺人鬼のエピソードは絶品。裏社会の大人に利用される(なんて生やさしい ものではないけど)少女達(双子の殺人鬼)がその大人達に牙を剥き、そして殺されるまでの話。
このエピソードは「GUNSLINGER GIRL」(相田 裕)と裏表の関係にあるように思え、「 ガンスリ」が上品に静かに理不尽な世界を描くの対し、「ブララグ」は下品に騒がしく理不尽な世界を描き ます。「ガンスリ」では大人に傷つけられた(あえて柔らかい表現で)少女達がさらに別の形で大人に利用 される、その理不尽で気持ちの悪い世界観が魅力の一つとなっているわけですが、「ブララグ」のこのエピ ソードでは少女達は(結果的に)大人に反旗を翻し、読み手としてはこの少女達側に思い入れを持つことに なります。しかし、主人公・ロックを除く全ての大人達(ヒロイン・レヴィ含む)は全力でこの少女達を殺 しにかかるという何とも言えないグロテスクさ。唯一ロックは(仕事としてではなく)少女達をなんとか救 おう考えますが、殺しの魅力に取り付かれた少女達と、裏社会の秩序のために少女達を殺そうとする大人達 を前に何もできません。
ラスト付近のベニーの「…誰かが、ほんの少し優しければあの子たちは−学校に通い、友達を作って、幸 せに暮らしただろう。でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ、ロック。だから−この話はここで お終いなんだ。」というセリフが全てを表す、切ないというよりも虚無感に捕らわれるような、B級アクシ ョン映画的な雰囲気からはかけ離れた繊細な内容です。
最新巻の5巻では4巻から続く日本を舞台としたエピソードが完結し、見所が多くなっています。裏社会 で生きていくことを決めたはずのロックは、しかし表社会への未練を捨てきれず、そのことを裏社会に足を 踏み入れなければならなかった女子高生・雪緒に看破されるシーン。さらに、ロックがロシアンマフィアの 幹部・バラライカを銃を突きつけられ命を握られた状態で言葉のみで説得しようとするシーン、どちらもア クションシーンより緊張感があります。
ラストの決闘のシーンでは、暴力でやり合うレヴィと銀次、言葉でやり合うロックと雪緒の対比が面白く 、それが決着に上手く結びついています。
この作品では抗えない絶対的な力の象徴としてバラライカが存在しますが、それとロック達がどう関わっ ていくかが今後のポイントとなるでしょう。
ちなみに表紙は女性キャラクターばかりですが、萌え要素はほぼ皆無なので気をつけてください。