RPGにおける難易度について

「FF12」批評の論争から

 ここ1、2ヶ月、ブログ界隈で私の興味をそそるような論争がいくつかありました(「ホテル・ルワンダ」に関する論争は凄まじい広がりを見せていましたね)。なんで私が忙しくなると同時に盛り上がんねん!というのは置いておいて、それらをなんとか追っかけることはできても、論争に参加することはできませんでした。
 その中で「ファイナルファンタジー12」の批評に関する論争を読んで。

 作品に対する批評はなにも制作者のためだけでなく、その作品に関心を持っている人にも重要なものです。私も気になったゲームはまずweb上の批評を見て回ります。しかし“つまんね”とか“これはクソゲー”なんて批評は何の役にも立たず、酷い言葉で言えば“クソのような批評”です(というかそもそも批評とは言えませんね)。
 安易な批評はそれに対する批評によって淘汰されていくのが理想だと思っているので、論争の元となったエントリーを批評に対する批評ととらえるなら、同意できる部分は多いです(私は「FF12」はやっていないけど)。

 で、この論争と関係があるかどうか微妙ですが、ゲームの批評で、特にRPGの難易度に対する批評がおざなりに感じることが多く、思うところを書いてみます。


 ライトユーザーと呼ばれる人たちは高難易度を悪徳とし、コアユーザーは高難易度を賛美する傾向にあります。私自身は「女神転生」信者でありトレジャー信者なので高い難易度の方が好みです。
 しかしそれは個人の好みの問題であって、全ての作品を“難しいから〜”“易しいから〜”で語るのは客観的な批評とは言えません。やはりその作品に相応しい難易度かどうかで評価するべきです。

システムと難易度

 まずシステム面から見て。
 「真・女神転生3〜ノクターン」や「グランディア」は非常に高い戦略性を持った作品です。それぞれ違う方向性の戦略性ですが、プレイヤーに考えさせることを前提とした戦闘システムで、その部分がゲームの核となっています。
 こいうったゲームの難易度が低かったらどうなるか。何も考えずにボタン連打しているだけで攻略できてしまうなら、折角の優れた戦闘システムが宝の持ち腐れとなるでしょう。実際、「グランディア」よりも難易度が下がった「グランディア2」に物足りなさを感じた人は多いのでは?

 逆に「ドラゴンクエスト」のようなシンプルな戦闘システムの作品の場合。私は「5」までしかプレイしていないのでそこまでの知識で書きますが、「ドラクエ」は決して戦略性が高い作品とは言えないでしょう。考える要素はどのタイミングで魔法を使うかくらいで、それもある程度プレイすればセオリーが把握でき、雑魚戦ではそれこそ決定ボタン連打で済んでしまいます(別にだからダメだというのではありません。「ドラクエ」の場合はそのシンプルさが1つのウリであり、戦略性が低いことが即欠点だとは思いません)。
 その「ドラクエ」で強力なボスが登場した場合、それを攻略するには“会心の一撃”などの運要素に頼るか、地道なレベル上げしかありません。運はどうしようもないので結局レベル上げになりますが(装備の充実も兼ねていますね)、戦闘システム自体がシンプルなのでレベル上げも単調な作業の繰り返しでしかなく、それが楽しさに繋がっているとは思えません。
 となるとサクサク先に進める低難易度が向いていると考えられます(でも私が好きなのは「2」だったり…)。

ストーリー・世界観と難易度

 次にストーリーや世界観から考える難易度。
 もし「女神転生2」や「バロック」のような暗く殺伐としたストーリー・世界観の作品が、ヌルい難易度だったりすると拍子抜けしてしまいますよね。生き延びることだけで必死、であるはずなのに、敵がサクサク死んでいくようでは設定との矛盾も生じます。
 逆に「マール王国の人形姫」や「かえるの絵本」のような少女漫画的・童話的なストーリー・世界観の作品が、殺気むき出しな難易度だったらヒいてしまうでしょう。

シリーズ物と難易度

 シリーズ物である場合は、そのことも考慮に入れる必要もあるでしょう。前作は自分でもクリアできる難易度だったから今作も大丈夫だろう、と考えてプレイする人は多くいると思います(その逆も)。その辺はシリーズ物をどう捉えるかで変わるでしょうが、シリーズ物は名前で売っているという面が大きいのですから、前作との比較は避けられません。

 「テイルズオブ〜」シリーズの場合、「ディステニー」・「シンフォニア」・「レジェンディア」・「ジ・アビス」は易しく、「エターニア」・「ディステニー2」・「リバース」は難しく、一貫性がありません。特に直接の続編である「ディステニー」と「ディステニー2」に大きな隔たりがあるのは関心できません(いや、好きなんですけど)。

 「FF」の場合は、「1」〜「5」は難しめで、「6」〜「8」は低めだったと記憶しています。私は「8」までしかプレイしていないので「9」〜「12」がどの程度の難易度かはわかりませんが、この難易度の差もファンが“前期派”と“後期派”に分かれる理由の一つかもしれません。

まとめ

 結局のところ、全てのゲームを十把一絡げに“難しく”“易しく”あるべき、と語るのではなく、その作品全体を眺めて適正な難易度かどうかを判断するべき、という至極当たり前なことが言いたいわけです。
 あ、批評について少し書きましたが、私が時々書いているのは“感想”であって“批評”ではありませんから!